和裁 / 飯間 幸子

平成5年度認定

昭和9年生 / 神戸市垂水区在住
勤務先:飯間和裁舎

和服の中でも高級品である花嫁の打掛を得意とし、 その技術は、業界でも高く評価されている。

受賞歴

日本の伝統衣装を後世に伝える責任


昭和60年、飯間さんは婚礼衣装の打掛の仕立てに新しい技法を考案した。「打掛の裾ふき(あわせのすそ部分)を手軽に縫い上げる方法はないかと考えたんです。袖の丸みに使う型紙にヒントを得て、経験の浅い人でも安定した作品に仕上げられるように工夫しました。」打掛けにこだわったのは、二人の娘の結婚の時には、ぜひ自分が仕立てた打掛を着せてやりたいとの親心から。この考案の功績もあって、飯間さんは平成2年、勳六等瑞宝賞を受賞した。
香川県の高校卒業後、大阪に出て和裁の修業を始め、4年後に独立。結婚と同時に来神して和裁教室を開き、現在も10名くらいの弟子を指導している。「住み込みで教えてたんですが、今は通いで来てもらってます。和裁を通して、社会のしくみも学んでもらえるよう気を使っています。」


飯間さんが中学生の時、母が働き始めたため、”鍵っ子”となった。飯間さんの作品を展示会に出品した写真「学校から帰った時、誰もいない家がさみしくて・・・。私の子供にはこんな目に合わせたくないと、家でできる仕事として和裁を選んだんです」と、きっぱり。社会参加を求めて職業を持つ主婦が増加の傾向にある現代、「家でできる和裁の仕事をもっと見直してくれる主婦がいてもいいのにと思います。」せっかくの日本の伝統衣装である着物を後世に伝える責任上からも、和裁の道に入ってくれる女性が増えることを期待する飯間さんだ。