婦人子供服 / 秋國 みち子

令和元年度認定

昭和23年生 / 神戸市須磨区在住
勤務先:衣や

近代洋服発祥地・神戸に根を下ろし、婦人子供服の仕立ては勿論、自ら作る喜びと着る幸せを広く社会に訴える独自の活動がライフワークともなっている。

受賞歴

  • 婦人子供注文服製造1級
  • 婦人子供服既製服パターンメイキング作業1級
  • 神戸市技能職団体連合会会長賞
  • 神戸市長賞
  • 兵庫県技能士会連合会長賞
  • 兵庫県知事賞
  • 神戸市技能功労者賞
  • 兵庫県技能顕功賞
  • 「ひょうごの匠」認定
  • 「ものづくりマイスター(婦人子供服製造)」認定

レディーメードの婦人子供服が普及し、洋裁人口減少下にあってもなお、それぞれの生活に即役立つ婦人子供服の技術指導は幅広い世代の女性から支持されている。日本伝統の着物や帯をドレスに生まれ変わらせるテクニックにも確かなセンスと技術が光る。


山梨県生まれ。高校を卒業し、東京の東芝商事にオペレーターとして就職した。当時は洋裁学校がトレンドだった。「会社に着て行く服を自分で作りたいと思いましてね、洋裁の勉強をすることにしました」OL生活をしながら武蔵野ドレスメーカー女子学院夜間部に入学。練馬の事務所から池袋にあった専門学校まで通い、洋裁の技術を身に付けた。それが後に大きく花開くこととなる。
洋裁の実力を高めた後、旧姓の久保を冠にして「久保洋裁所」と称し仕事をこなしていく傍ら、勉強熱心な秋國さんは保育士としての勉強もスタート。ピアノなどの技術も身に付け保育士の資格も取得した。これを切っ掛けに練馬区にある保育園に再就職する。洋裁も出来ることから、子供服や婦人服の実際例を把握研究する場として貴重な経験となった。


「内職みたいに注文を受けて好きな洋裁を続けるうちにプロとしての技能資格をあれこれ取って、洋裁コンクールにも挑戦する機会を与えてもらいました」その中から主なものを挙げると、平成14年 兵庫県服飾関係作品発表会 神戸市長賞、平成19年 兵庫県 技能顕功賞などの受賞を重ねる。こういった実績が認められ、カルチャーセンターの洋裁講師も務めるようになった。満を持して、平成21年には自身の洋裁工房「衣や(ころもや)」を須磨区飛松町に構える。「店名は息子のビジネスに関連して使わせてもらいました」と、あくまで家族を大事にするみち子さん。彼女が手掛ける子供服のブランドは息子の名前を由来に「HIRO」と命名した。
「衣や」ではオーダーやリメイクをこなす工房と共にサロンとしても活用し、一般の人に向けて婦人子供服の仕立て技術の指導も行っている。通り一遍のマニュアルではなく、その人にとって即役に立つ技術指導を特色とし、中高年の生徒さん達からは「洋裁がこんなに楽しく勉強出来るとは思わなかった」と、生き甲斐探しの場としても喜ばれている。また、タンスに眠っている着物や帯をドレスに生まれ変わらせるセンスと技術は人生を投映した創作活動として特筆すべき評価を得ている。洋裁を身近なものとして「作る喜び、着る幸せ」を社会に訴え続けるひたむきなその姿勢は「洋裁の伝道師」と言っても過言ではない。