鋳造 / 鶴目 勝幸

平成5年認定

昭和13年生 / 垂水区在住

自動車用エンジンの試作用鋳型の製作に優れた技術を持つ。
非常に複雑な形状をした鋳型もこなせる高度な技術を持っている。

受賞歴

鋳物となる“湯”を注ぎ続けて


西神工業団地内にある「カルモ鋳工」-その工場で、今日も鋳物の製作に取り組む鶴目さん。自動車用エンジンの試作用鋳型にかけては天下一品の技術を誇る。
木型で造型したものに“湯”を入れる。湯とは、インゴットとよばれる金属を溶かしたもので、これが鋳物となる。「湯がうまく流れるように湯道を作りますが、均等に冷やすために細工するのが一苦労です。」それだけに、製品が出来上がった時の喜びはひとしお。「湯を入れる瞬間、金属が水蒸気になって飛び散るという危険もありますが、気を付けていれば大丈夫です。」柔軟な身のこなしに万年青年のイメージがにおう鶴目さんだ。
「昔は山土と水を使って鋳型を作ったものですが、最近は水の代わりに樹脂を使うので仕事がやりやすくなりました。」 スズ、亜鉛、銅などの合金だけでなく、アルミニウムの製品も多くなった。電車のパンタグラフ、自動車の部品、ポンプ・・・鶴目さんの手がけた作品が広い社会のあちこちで活用される。


「自分の手がけた製品が社会の一部で使われているのを見て、私もまた社会の歯車の一つとして役に立っていることを実感し、新しい気力を養うんですね。」 中学卒業と同時に鋳造業界に入り、足かけ40年。
「5年くらいで面白味を感じるようになり、一人前になるには10年かかります。汚いからイヤがられる向きもありますが、一度喜びを知ってしまったらほかの仕事は考えられません。」ときっぱり。