広告美術 / 井上 誠

昭和11年生 平成22年没
勤務先:(株)アイド

昭和63年度技能グランプリ全国3位。そのほか多くのコンテストで上位入賞。デザインから制作まで高い評価を受けている。

受賞歴

”生きざまそのものが作品に”


昭和36年に神戸の工芸会社に入社した手始めの仕事は映画の看板描きだった。「一枚のモノクロ写真をヒントに、スターの似顔絵から背景、デザイン文字まで自分で考え、看板に仕上げるやり方でしたが、これが創造力を養ういい体験となりました。」
昭和40年に独立してからも、専門家に付いて洋画・書道を習い、書道は師範の資格を取得、洋画も各種展覧会への出品のほか、個展を開くなど本格的な活動を続けている。


井上さんが経営する㈱アイドでは現在15人のスタッフがウインドーディスプレイや各種看板、街路デザインなどの実務と取り組んでいる。コンピューターを使ってレタリングやかなりのデザインが可能な時代に、あえて「機械では出せない書き文字の創作で腕を磨け」と、激励を怠らない。昭和63年一級技能グランプリ全国大会における、貿易摩擦の解消を願う政府広報ポスターの制作での3位入賞をはじめ数々の入賞実績を誇る井上さんの自信が生み出した指導方針だけに、その言葉には説得力がある。


個人的には、海が大好きで、釣り愛好家の雑誌にイラスト入り随筆を連載するなど、ユニークな活躍ぶりが業界の内外からも注目を集めている。ちなみに、神戸マイスターのバッジも井上さんの作品。 「絵筆を握った後は、マイクを握って、1曲歌います。胸がスカッとして、また新しいアイデアが浮かびます。」エネルギッシュな毎日を送る井上さんだ。