フラワー装飾 / 澤田 俊夫

平成7年認定
昭和4年生 平成11年没
勤務先:(有)草楽園



ブーケ、コサージなどの小品から大規模なモニュメントまで花を使った装飾品を広く手掛ける。第1回全日本フラワーデザインコンテスト優勝。

受賞歴

”花の生かしかたはまた、人の生かし方”


北野町で、今もハンター坂としてその名を残す貿易商・ハンターさんのお抱えの植木屋が父、宇市さんだった。父の死後、母のつるさんが継承、俊夫さんに厳しく技術をたたき込んだ。
昭和28年、宝塚で行われたフラワーデザインコンテストで農林大臣賞を受賞、自信と意欲を湧き立たせた。24歳だった。以後めきめきと腕を上げ、同39・40年と(社)JFTD(花キューピット)主催の全国コサージコンテストで秩父宮妃賞(第1位)を連続受賞。時代の進展につれ、フラワーデザイナーのパイオニアとして、協会や専門学校などを通じ後進の育成にも力を注いで今日に至っている。
ブーケ、コサージなどの小品から大規模なモニュメントまで花を使った装飾品の幅広いジャンルに腕のさえを発揮するが、そのセンスをみがくのに何よりも力となったのは国際感覚。フラワーアレンジメントで長い歴史を持つ欧米の人々に各国の事情を尋ねたり、文献を取り寄せたりなど、あくなき探究を続けて世界に通用するテクニックを身に付けた。


「大切なことは花そのものを理解して、生かしてやることです」と、きっぱり言い切る。花にも顔があって、育った環境が性格に出るという。「自然に生えている状態に近づけやるのがいちばん花を美しく見せるコツです。」不自然な扱い方をした花は飽きられやすいという。「主役と脇役の組み合わせと色のバランスのとり方で、アレンジメントをより素晴らしいものに仕上げます」とも。人生の喜びごとに文字どおりの“花”を添える仕事だが、花の生かし方に、人の生かし方をも見る気がする。