鉄工・板金 / 神原 邦夫

平成5年認定
昭和21年生 平成8年没
勤務先:(株)阪神工作所

金属加工の分野で優れた技術を持つ。電子機器の筐体(きょうたい)となどの高い精度が求められる製品を多く手がけている。

受賞歴

”精密加工にチャレンジする喜び”


精密板加工の中でも、とくに薄板の溶接やひずみ取の技術が評価されている。電子部品やプリント基板用の筐体(機械を収める箱)などは高い精度が要求されるが、神原さんは何種類もの部品を組み合わせても、ほとんど誤差なく仕上げることのできる腕を持っている。
子供のころ、模型飛行機を作るのが得意だった。手先の器用さを買われて入ったのが、阪神工作所。「初めは配電盤を手がけましたが、途中から精密な板金が中心に変わっていきましたね。かなり、機械化も進んできましたが、今だに最後は自分の手が頼りになる仕事です。」
設計図との誤差が1ミリも許されない難しい仕事になればなるほど、神原さんは一層意欲を燃やす。溶接によるひずみをおこさぬよう仕上がりを計算した鉄板処理の完璧さは、今さらながら周囲をうならせるほどの名人芸。


創業昭和28年、精密板金加工で知られる阪神工作所の工場長として、神原さんは自ら陣頭指揮を取る。「鉄工関係者の仕事と言えば、いわゆる村の鍛冶屋さん的なイメージを描かれる人が多いとと思いますが、電子機器の筐体など精密加工は、難しい反面、おもしろみもあります。仕事を任せられると人間、意欲が湧くものです。新しい品物の試作がいちばん楽しいですね。」好きこそ物の上手なれ―上原さんの座右の銘だ。