ビルメンテナンス / 竹之内 輝夫

平成5年認定
大正15年生 平成15年没
勤務先:ポート興産(株)

床材やその清掃に使用する洗剤、床維持剤、機器等の知識、経験が豊かであり、業界内で指導的役割を果たしている。

受賞歴

”どこまでも人間の手がモノをいう”


30数年前、港湾関係の会社をやめ、脱サラで、ビル清掃業を始めた。「得意先がビルを建て、気心の知れたところに管理をと頼まれたのがこの業界に入るきっかけでした。」進駐軍の落し子ともいえるビル清掃業。日本でその業界がスタートしたころ、自動車に用具をくくりつけて現場に向かうという昭和30年代だった。「三チャンという言葉もありまして、父ちゃん・母ちゃん・兄ちゃん、つまり家族でがんばる仲間が多かったですね。」昭和45年のビル管理法の制定もあって、単なる清掃から設備の維持管理、警備に至るまで総合的に仕事をこなすようになった。最近、産業分類にビルメンテナンスが加えれ、やっと業界が世間に認知されたかっこう。「建材の進歩に対処して洗剤や床維持剤の研究と技術の改善がすすむなかで、変わらないのはどこまでも人間の手で行う仕事であることです。」人間重視の職場である以上、時代の進歩に適応した働きやすい環境をと、竹之内さんは業界講習会などを通じ率先して、明るい職場づくりを指導する。


建材を例をあげても、新しい素材が次々に登場する現在にあって、大切な建物を損傷することなく、磨き上げるために、竹之内さんならではの経験から編み出した工夫がモノをいう。清掃機器の扱い方から、洗剤、床維持剤の調合方法まで、彼特有の知識を惜しみなく後進に伝えて、業界のイメージアップにもひと役買う。「気持ちよく働いてもらうために、せっせと清掃に励む私たちですが、責任を自覚すればそれなりの喜びもあります。」企業の発展を陰で支える頼もしい存在だ。