印章彫刻 / 橘高 毅

平成6年認定

昭和2年生 / 神戸市中央区在住
勤務先:橘高精華堂

形式美を重んじた品格ある印章が、業界の模範とされている。全国的な技能競技大会の審査員としても活躍。

受賞歴

  • 勲七等 青色桐葉章

品格と洗練を浮きぼりに


印鑑はその人の顔だと言い切る。「西洋のようにサイン社会ではなく日本はハンコが中心になっている国ですからいいものを持ってほしいですね。」橘高さんの言ういい印鑑とは「材質がよく吟味されていて、文字がすっきりと生きていること」-。鑑定料や祈祷料などが入って価格が吊り上げられた印鑑が決していい印鑑ではないとアドバイスも忘れない。最高級とされる象牙にも色々あり、部位によっては黒水牛の方が優れている場合もある。「象牙にしろ、黒水牛にしろ、どの部位をどのように使うかによって価値が決まるんです」と、いい字を彫るためにあくなき追求を続ける。


「タテ、ヨコのバランスと朱と白のバランスなどを考えて字の配分を決めます。複雑な文字と簡単な文字のバランスも無視できません。」字法、章法、刀法、つまり文字の姿、配列、彫刻刀の用い方などに精通したうえで、作業を進めることが大切と橘高さんは説く。「一生ものの印鑑ですから決して手を抜かず、自分が納得するまで時間をかけて仕上げます。」
字に磨きをかけたうえで彫り進めていく橘高さんの印鑑には、洗練された文字が浮きぼりにされて芸術の香りがする。形式美を重んじた品格のある印章が業界の模範とされ、全国的な技能競技大会の審査員としても活躍。業界のレベルアップにひと役もふた役も買う貴重な存在となっている。