金属製品 / 岡 恵三

平成6年認定

昭和19年生 / 神戸市東灘区在住
勤務先:(株)布引製作所

精密・特殊スクリーンの製作において優れた技術・技能を持ち、従来、不可能とされてきた高密度を実現している。

受賞歴

ミクロの技術が生み出すスクリーンアートりに


食品や化学薬品の生産機械から家電製品まで幅広い分野にわたり、目立たぬところで使われているのが金属スクリーン。「例えば砂糖を精製する機械の金属に400万個の小さな穴を開けたりする仕事なんですよ。その穴の一つ一つがきちんと整列していないと使いものにならないんです。」それは、攪拌、分離、濾過、脱水、搾汁などの用途でステンレスや耐蝕アルミなどに精密な穴を開けた特殊スクリーンともいうべきもの。
全国的にも数少ない専門メーカーとして知られる布引製作所は、従来不可能とされてきた1000分の1ミリの高精度スクリーンの製造を手がけている。その成果は岡さんの熟達した技能に負うところが多い。


「スクリーンを作る工程の一つに放電加工があります。電極を揃えるのに今だに手作業がモノをいう世界です。コンピューターではかり知れない微妙な調整はやはり、人間の手でないと・・・」岡さんのミクロの技術が“スクリーンのアート”を生み出す。子供のころから工作好きで、手先が器用だった。「すべてがオリジナルの受注生産で、ニーズに合わせて新製品を開発していくのが喜びです。」
彼なりの創意工夫が認められ、打抜金網の精度を計る開孔度計の発案・製作で科学技術庁長官賞を受賞したこともある。 “創造・創作”を座右の銘とする岡さん、趣味も日曜大工で、ものを作ることに生き甲斐を実感する毎日だ。