硝子施工 / 平尾 和輝

平成6年認定

昭和17年生 / 神戸市兵庫区在住
勤務先:(株)ヒラオ

板ガラスの円形クリアカットや大板ガラスの取付施工に優れ、第1回全国ガラス施工技能競技大会1位などの実績を持つ。

受賞歴

  • 卓越した技能者(現代の名工)
  • 黄綬褒章

建物の目にイキイキした輝きを


建物を生きものに例えるなら、ガラスは目だと平尾さんは語る。「ガラスを入れると建物がイキイキしてきます。」
ガラスを壁面材として用いたり、ショーウインドーを備えたビルが増えるなど、ガラスの需要は増す一方。なかでも、巨大サイズのガラスの取り付けには、より高度な技術と緻密さが要求される。それだけに、やり甲斐のあるところで、平尾さんは昭和48年の第1回全国ガラス施工技能競技大会で1位の受賞に輝やいた腕を発揮して、自ら困難をともなう仕事と取り組んでいる。「取り付けてしまえば、だれがやったのかわからなくなる仕事ですが、大変目につきやすい“表” のガラスを入れる蔭の仕事というところに味わい深いものを感じています。」


巨大ガラスだけではなく、板ガラスの円形クリアカットにも手腕を発揮し、平尾さんならではの繊細な技術が注目されている。円形クリアカットは換気扇の取り付けなどで必要だが、ガラスに円を二重に描いた後、カナヅチで円内のガラスを小さく砕いて割る。円を二重に描くのがコツで、ほぼ中の円が開いた時、ヤットコで外の円をはさんで外すとみごとな円形の穴が“クリア” に開くというしだい。作業台に置いたガラスだけではなく、すでに建物に入れられたガラスに穴を開けることもある。制限された作業条件での仕事だけに平尾さんならではの腕が要求されるところ。
同様にガラス職人だった父の姿を幼いころから見て育った平尾さんにとって、この仕事はまさに天職ともいえるものだ。