板金組立 / 浅原 康昌

平成9年認定

昭和18年生 / 明石市在住

流線型の立体的な三次元曲線を可能にする技能は鉄道車両業界で第一人者と評価されている。

受賞歴

みごとな曲線で電車の顔を


電車の顔ともいうべき車両先頭部をアルミ材などで造るのが仕事。二次元の図面を読み取り三次元の立体の作品に仕上げる苦労に加えて、部材を効率よく成形加工する技能が高く評価されている。「これまではハンマーで打ち曲げ加工してきたんですが、私はドイツ製のクラフトフォーマーを使ってどんな曲線でも期待どおりに仕上げて来ました。」金属を縮めたり引き伸ばしたりする成形加工機ともいうべきクラフトフォーマーにアルミ板をはさんで、コツコツと何度も何度も少しずつ作業を進めるうちにアルミ板がわん曲したり、球状になったり。さながら金属の魔術師といったところ。
「新幹線の『500系のぞみ』は先端部分が16mもあり、曲線の処理が大変ですが、それだけにこれほどやり甲斐のある車両もないですね。」難しければ難しいほど意欲が高まり、何としてでもと知恵を絞り、これまでに体得したテクニックに新しいテクニックを加えて、最新のデザインを具体化していく。「試作の川崎と評価されてきた伝統がありますからね。出来ないとはいえません。」


最近の流線型の立体的な三次元曲線を可能にするには浅原さんの技術なくしては無理であったといわれ、その技能は鉄道車両業界で第一人者と評価されている。「鉄道愛好家受けするデザインが進む一方で、 “板取り”といって分割位置の展開など、実用的に材料をムダなく使うことも忘れては行けません。」理論的に割り出せない対処の方法を経験とカンにものいわせ、クラフトフォーマーにハンマー打ち曲げをたくみに取り合わせて未来の電車の顔を造る。浅原さんの表情は少年のようにはずんでいる。